春の夜の夢について

こちらは、空想都市の年始企画'07向けに書いたものです。 本来の締め切りを1ヶ月以上もオーバーして、何とかでっち上げた割になんか独りよがりで気持ちの空回りした作品になってしまいました。 もっと、普段と違うものを書こうと思ったのに、気がついたらや…

春の夜の夢(全)

文系大学生の朝は遅い。 いや、もちろん早くから起きて勉学に励むような見上げた学生だっていることはいるし、文系だからと言って学問が楽だとは限らない。 そうはいえども、突然剖検が入って呼び出されたり朝早くから牛の面倒をみたり、合宿と称する我慢大…

初恋の逝く道について

こちらは、ザ・グレート・展開予測ショーPlus(通称GTY+)さんに投稿したゴーストスイーパー美神極楽大作戦(GS美神)の二次創作作品です。 元々は、本家ブログ「三つ編み外様大名」の10万PV記念に、お題を貰って短編を一本書くぞ企画というのをやりまして、…

初恋の逝く道(全)

はて、と妙な気配に彼女は足を止めた 自宅であり仕事場でもある、『美神令子除霊事務所』の事務所ビルの前だ。 彼女は制服姿である。この4月に入学した六道女学院高等部のものだ。やや短めのスカートの裾からは健康的な素足が長く伸び、清楚なブラウスに包…

米内ですがハルノートを受諾しますたについて

架空戦記掲示板のWikiである架空戦記Wiki(http://wiki.livedoor.jp/talive0208/)に投稿している作品。 「御前会議の閣議決定後、突如として昭和天皇の気が変わり、ハルノートを受諾することになりました。そこで白羽の矢が立ったのは、海軍左派で親米英派…

その0:米内ですが組閣の大命を受けますた

その夜、彼は寝付けなかった。 昭和16年12月6日。いや、時刻は既に0時を回り7日を迎えている。何とはない胸騒ぎに、彼は寝床から起き出した。冷え切った夜気が首筋をなぜる。 まもなく。 玄関先で何か物音がしたようだ。彼の住む三年町は、霞ヶ関のすぐそば…

その1:受諾を公表しますた

政変。その噂はすぐさま市井を駆けめぐった。 曰く、近衛師団が宮城の周囲を厳戒警備している。東条首相始め閣僚が全て招集された。東京憲兵隊も動いている。海軍や陸軍の将官が何人も拘禁された。 表立った動きや争乱は何もないが、明らかに何かが動き出し…

その2:交渉開始にこぎつけますた

1941年12月14日未明。フィリピンの北、台湾の南。南シナ海のどこか。 「潜望鏡深度。」 「アイサー。」 海面から僅かに飛び出す機械の目。 「魚雷装填。」 「……考え直しませんか、艦長。」 「これは命令だ。長官直々のな。」 「……1番2番装填。」 その視線…

その3:南部仏印から撤兵しますた

「ルーズベルト倒れる」 ワシントンポストに掲載されたその記事には、大統領の病状について事細かに書かれていたが、後任大統領については二の次とばかりに控えめに書かれていた。 「後任はウォーレス副大統領」 その一文を読んだ市民の反応は、以下のような…

その4:内戦がはじまりますた

小林盛夫は、行進する兵隊達を見かけて足を止めた。 場所は市ヶ谷の靖国通り途上である。2月半ばの冷え込んだ朝、数日前に降った雪が道のそこここにぬかるみを造り、まだ日陰には泥と混じった白いものがちらほらと残っている。時刻は朝6時過ぎだろうか。 そ…

タマモと桜と優しい奴らについて

ザ・グレート展開予測ショーPlus(以下GTY+)さんとNight Talker(以下NT)さんの合同企画、どっちのSSつけまShowへの応募作品。2007/4/30の締め切りギリギリに投稿しました。 ありがたいことに芳しい評価をいただきまして、最優秀賞(GTY+賞)を頂戴しまし…

タマモと桜と優しい奴ら(全)

「ねぇ、君。ボクと一緒にワビサビの深奥を極めてみないか。」 「いやいやっ!君のようなスレンダーな女の子は水泳だっ!水泳部しかないっ!」 「おおっ!麗しの姫君よ!私の演劇魂が、あなたの優雅な一挙手一投足に惹かれて止みませんっ!どうかこの哀れな…

『思い通りにいかないのが世の中なんて割り切りたくないから』について

こちらは、昨年の「春の夜の夢」に続いて空想都市の年始企画'08への投稿作になります。昨年よりもさらに遅れて完成となりました。言い訳としては、同時期に「赤紙(18禁)」を書き始めてしまったから、というのがあるのですが、それにしても遅れすぎですよね…

思い通りにいかないのが世の中なんて割り切りたくないから(全)

『カルピスをウーロン茶で割ったような味の恋をしました。』 ラジオから流れたフレーズに、オレははっとして机から頭を上げた。 『高校に入学した時から、先輩のことが好きでした。告白して振られたけど、それでもまだ忘れられませんでした。 でも、このまま…