来栖川HM物語(偽) 設定2

沿革情報
PNNCシリーズプロセッサ
 来栖川電工の開発した超並列処理演算神経網コンピュータ(Parallel Neural Network Computer)。実際には基礎理論設計を電工側(2研及び7研)が担当し、詳細設計と開発はメトセラ・ディベロップメント社が担当した。生産は当初電工が自社で行っていたが、他社との業務提携後は、米IBM社を中心に米モトローラ社、東芝、台湾UMC社など数社に分割委託されている。
 人間の脳の神経細胞であるニューロンの結合神経網を模した、いわゆるニューロンコンピュータシステム。個々の神経細胞(=コンピュータノード)の数で人間の脳には決して勝てない(1,000億のオーダー)ので、個々のノードの性能を強化し、さらに、各ノード間の処理を分散して同時並行処理することで、疑似感情、疑似人格の演算を可能としている。
 ニューロンコンピュータは構造上、連想メモリとスタックメモリを持たねばならないが、PNNC−205Jにおいても従来のコンピュータと同じノイマンアーキテクチャをとっているため、キャッシュの一部以外のメモリ管理はOSが行う様になっている。PNNCシリーズ自体は、それ独自の構造を持つコンピュータシステムであると同時に、HMシステム全体のMPUであるともいえる。
 PNNC−205J及びその後継プロセッサには、いくつかのサブセット版が存在しており、また、モデルによって搭載しているサブセットモデルは異なる。

・PNNC−205J
 HMX−12/13/14、HM−13/13A/ES系に搭載。感情演算用のコプロセッサと命令セットを持つ。

・PNNC−205J/SX
 HM−12に搭載。製品単価を下げるため、205Jから学習/連想部分と感情演算部分の多くを簡略化している。サードパッチやフリーのプロセッサドライバなどで強制的に個性化を行うカスタマイズ(俗称”おらマルチ化””専用マルチ化”)が流行したが、問題が多く、後に、カスタマイズ企業による205J/FX互換プロセッサへの交換(通称”+化”)需要を生み出すこととなった。

・PNNC−205E
 欧米圏輸出向けのHM−13系初期モデルに搭載。言語認識/制御野の優先処理を日本語から印欧系言語に切り替えたモデル。後に基礎記憶ライブラリが多言語化されたため製造中止。

・PNNC−205J/FX
 HM−12+用に開発され、HM−13Fシリーズ以降、HMS−14シリーズ、HMX−15、HM−15HDに登載。素子ゲート長サイズをシュリンクし、簡略化された感情演算処理系を持つ。205J/SEで簡略化された機能のすべてを備えるわけではないが、不足部分はOS側に処理が移されている。生産台数では最も普及したHM用メインプロセッサで、技術供与によって他社HMでも採用される例が多かった。後に発生するプロセッサ生産セカンド/サードベンダは、この205J/FX互換プロセッサからスタートしている場合が多い。

・PNNC−206J
 HMX−16用に開発されたプロセッサ。HMO−16シリーズに登載。個別学習による学習/連想部分を最低限必須部分だけ残してオミットし、通信機能、セキュリティ機能、学習済みデータの高速展開と個体補正などを強化した。このプロセッサの特徴として、個体補正機能が結果的に学習/連想部分の機能を果たし、個体の個性化が他のHMと異なる現れ方(表情や言語表現ではなく、癖や所作と言ったボディーランゲージに顕在化する)をするようになった点があげられる。
 206Jの基本構造は205Jの延長線上にあり、ノード数増加による全体的な性能アップと機能分野別最適化アルゴリズムの変更を施されている。
 206Jは企業向けのHMO−16とそのバックエンドシステム向けに開発されたため、他企業には技術詳細は公開されておらず、205J/FX以降のオープンスタンダード路線とは一線を画する。

・PNNC−206J/GX
 HM−15HDシリーズ向けに206Jをカスタマイズしたプロセッサ。政府機関に納入されるHM−15HD1/HD2のみに登載されている。セキュリティのため、詳細は非公開とされており、シリアルナンバーなどで全製品が厳密に管理されていると言われる。

・PNNC−206J/BX
 206Jを205Jの上位互換プロセッサとするために開発された。HM−13Rシリーズ以降の機種、HM−15HD3(民間向け)、HMO−16の一部上位機種で搭載するほか、HM−12+系やHMS−14系でもメーカーオプションとして搭載可能。206Jでオミットされた個性化・感情表現関連の機能を追加してある。207の開発が遅れたため、代役として急遽開発生産されたが、結果として205J/FXの後継機種としての役割を十二分に果たすこととなった。205系プロセッサでは最も熟成が進んでいるといえ、来栖川純正プロセッサとしては現在のメインストリームプロセッサと言える。

・PNNC−207
 205J/FXの後継と目されていたプロセッサ。当初計画では、205系上位互換プロセッサとして各種追加機能を持たせ、次期主力機HM−17に搭載されるる予定であったが、開発の遅れから来栖川電工での基礎論理設計終了段階でキャンセルされた。(HMX−17も一度企画段階でキャンセルされている。)その後、電工のプロセッサ開発は208以降の開発にシフトしていく。
 しかし、公開された基礎資料から米IBM社と米TI社を中心とした2グループで開発が継続され、事実上207互換と言えるプロセッサが生み出された。IBMのSPN7と、TIのSplash7の二種である。
 SPN7はIBM社のHMブルーシリーズを中心に数社で採用された。米ローレンス・リバモア国立研究所(米エネルギー省)では、状況解析シミュレータとして、SPN7を1,024台組み合わせたニューラルプールと33機のブルーXシリーズ・オペレータ(SPN7搭載HM)を導入し、注目を集めた。
 Splash7は、サン・マイクロシステムズ社製バックエンドオペレータ向けHMのエンタープライズシリーズを代表に、各社の家庭向けHM上位機種に採用されている。
 来栖川電工では207互換機を採用していないが、サードパーティ各社ではHM−12〜HM16各機種のカスタマイズメニューに、207互換プロセッサ搭載プランを載せているところも多い。

・PNNC−208
 次期主力機であるHM−18用に開発されたプロセッサ。HMX−17/18/19に搭載されている。
 製造プロセスの微細化によって、専用記憶野の多くを各プロセッサ内ノードに付随して格納できるようになった。(この演算ノード+記憶野をニューロンセルと呼ぶ)206Jまでのプロセッサが「ニューラルネットワークを応用したノイマン型コンピュータアーキテクチャ」だったのに対して、208は「ノイマン型を引きずったニューラルネットワークコンピュータ」と言える。過渡期のプロセッサ/アーキテクチャであることは確かだが、HMのコンピュータアーキテクチャが、完全な「脳」を指向していることの確かな証左であるともいえる。
 208では、ノード数自体が205Jに対して16倍に増えており、理論積としては256倍の性能向上が見込まれる。(実効性能としては理論性能の30%から70%程度。)来栖川製のPNNCシリーズは、他社製207系互換プロセッサに性能面で追い抜かれつつあるが、それがHM自体の性能差に必ずしも直結するわけではない。ソフトウェア技術の蓄積と、アーキテクチャとインフラ整備のイニシアチブは、未だに他社の追随を許していない。





来栖川電工以外のHMメーカ
日本国内メーカ

NEC(日本電気
 PCの老舗であり、HMにも注力している。個人向けのHM−ValueStarシリーズと、HM−Lavieシリーズの他、企業向けHMやバックエンドシステムでも大きなシェアを持つ。銀行に行くとHM−Mateさんが受付をやっていることが多い。
 HM周辺デバイスでも技術力が高く、特に通信機器などでは優れた製品が多い。
 富士通の宿命のライバル。

富士通
 メイドロボ時代からのNECのライバル。家庭用HMのオールインワンモデルでは20%近いシェアを持つ。政府機関向けHMバックエンドシステムなどでNECと鍔迫り合いを演じたりする。

ソニー
 来栖川HM登場後に業界参入。スタイリッシュなHM−VAIOシリーズは人気が高い。街で目を引くHMはVAIOカラーの娘が多い(らしい)。

日立製作所
 家庭向けHMではFloraシリーズを販売しているが、あまりぱっとしない。外見が派手じゃないせいかもしれない。学術機関向けなどでは、優秀なアシスタントHMが多いらしい。

東芝電器
 メイドロボ時代にはそれなりの勢力を持っていたが、現在では凋落。とはいえ、ミニHMでは目を引く製品が多い。

松下電産
 メイドロボを作っていた過去はあるが、既に撤退済み。ミニHMでは通好みの製品を時折発売する。むしろ、姉妹企業の電工の作るHM周辺機器やアクセサリの方が売れ行きが良いかもしれない。

三洋電機
 HM自体は作っていないが、家電とHMのインタフェース研究などで各社と提携していたりする。来栖川のHMでも三洋の家電を愛用しているものが多かったりする。

シルフィング
 HM開発では来栖川と並ぶイニシアチブを持つ企業。製品シェア自体は大きくないが、通好みの革新的製品が多く、ファンが多い。以前は独自規格のHMを出していたが、現在はHM技術中核部分の標準化で来栖川と協力関係にあり、205互換系の製品がメイン。

来栖川コミュニケーションシステム(K−COM)
 携帯電話やPDAのメーカ。電工からHMSについて技術移管を受け、ミニHMを販売している。

海外メーカ
デルコンピュータ
 量販HMの世界第2位。徹底した直販と注文生産方式をとっており、販社を通らないので価格が安く、カスタマイズメニューも比較的幅広い。また、世界レベルのサポート体制を持っているのも人気の理由。一貫して来栖川互換路線を歩んできたが、207互換プロセッサの開発を裏で操っていたとの噂もある。

IBM
 PNNCシリーズの生産を手がけており、HM業界でも大きな発言力を持つ企業。ミニHMからサテライトなどのインフラまで自社で手がけており、総合力では来栖川に並ぶものがある。個人向けHMのヴィスタシリーズやシンクシリーズは玄人筋にファンが多く、最上位機種のブルーシリーズは世界最高峰のHM機種の一つ。製品はシック装いのものが多く秘書機として人気が高い。

HP
 世界第3位のシェアを持つHM業界の雄。総合力ではかなりのものだが、製品がぱっとしない。

サン・マイクロシステムズ
 ネットワーク関連での歴史が古く、また、教育関連に力が強いので、大学や企業の専門分野で多くのアシスタントHMが活躍している。207互換プロセッサ開発に関わったが、一般個人向けHMは出していないので、お目にかかる機会は少ない。

アップルコンピュータ
 シェア自体は大きくないが、非常にスタイリッシュなHM製品が多く、熱狂的なファンが多い。来栖川=メトセラ系列とは異なるプロセッサを採用しているのも特徴。

フォレスフィールド
 非常に美しいHMで知られるヨーロッパの企業。来栖川系を中心にカスタマイズを行っていた企業だが、自社製HMの生産を初めてからは技術に裏打ちされた製品が支持されている。基本的にオーダーメイド機や高級機の少量生産を行っており、日本でお目にかかることは少ない。


その他の企業など
軍事向けアンドロイド/タクティカルフレーム関連
来栖川重工
三菱重工
川崎重工
富士重工
篠原重工
シャフトエンタープライズ

アクチュエータ関連
来栖川モーター(K−モーター)
マブチモーター
タミヤ模型
日本電産NIDEC