春夢譚 設定メモ

渡り

 この世界(名称未定)に、他の世界の一部が取り込まれる現象。取り込まれる大きさは、最小で数百メートル四方、最大で数百キロメートル四方程度。世界を囲む《障壁》に接する形で、混沌の海に出現する。

 渡りは、数年に一度起こる。他の世界から切り出された大地には、必ず中心となる存在があり、人造のモニュメントや建築物、大木や丘、湖などのそれは、柱《コラム》と呼ばれる。柱は渡りの終わった後、直接触れた者から資格のあるものを選び、主として受け入れる。柱に選ばれた者は、その地の領主となり、支配地域に強い影響力を持つこととなる。

 渡りに際して、新たな土地とともに多くの植物や生物がこの世界にやってくるが、その中に人が含まれることも少なくない。ここでいう《人》は、言葉を解し道具を使う二足歩行の生物を指す。このカテゴリには、エルフやドワーフ、ゴブリンといったファンタジー世界の標準的な亜人種に加え、リザードマン、蛇人間のようなは虫人類(二足歩行なので爬虫とは言えないが)、人狼や人虎といった獣人、神や半神なども含まれる。その多くは地球での伝説伝承や空想に準ずる姿をとっている。

 これら広義の人類は、例外なく言葉による意志疎通が可能であり(文字は必ずしもそうではない)、概ね交配と妊娠(一部卵生の種族もいる)が可能である。

 人が世界とともに渡りを経た場合、しばしば変容や特殊な力を得ることがある。これは《諸相》と呼ばれ、多くの場合、違う種族への変化や身体的特徴の変化などを引き起こす。渡りによって変化した容貌や種族的特徴は、世代を経ても継承されることが多いが、特殊な能力は突然変異的なものを除いて、世代を経るに従い薄れていくのが普通である。そのため、渡りを経た人間は、この世界で生まれ育った人間に比べて強力な存在であることが多く、《渡り神》《真祖》等と呼ばれることもある。

 渡りの発生に周期はなく、予想することは出来ないが、《世界の目》等の能力者は、その前兆を知ることが出来るという。渡ってきた大地に人がいない場合、その領主となることが出来るので、争奪戦が行われることが恒例となっているが、強力な渡り神と出くわす危険性もあり、ひどく危険な賭博でもある。

 

渡り神、真祖

 渡りによってこの世界にやってきた人。特に、神や半神、それに類する英雄など、非常に強い力を持った存在が多い。既に渡ってきた神と似た神が渡りの直後に遭遇した場合、一体化が起こることがある。強力な渡り神は、領地の獲得を目的として、あるいは、渡り神による破壊や災厄を防ぐために、渡りの起こる土地に来ている場合が多い。

 

永遠の都シャンドラ

 旧大陸の中心に位置する遺跡。伝承では、世界には最初この都だけが存在し、その外はただ茫漠と広がる混沌の海だったという。この都では、如何に強力な者といえども、争いを禁じられており、神々や王達の会盟の場として使われる他は僅かな修道士達だけが住み暮らしている。

 

五大街道

 西の大街道、東の大街道、諌死回廊、南海道、暗黒大道の5つの街道を指す。南海道以外はシャンドラから発し、西の大街道はユミル地方のイスまで、東の大街道は海内地方のキサナドゥまで、諌死回廊はノヴゴロド地方のハリコフまで、暗黒大道はブール地方のエルドラドまで続く。南海道は、キサナドゥから南大洋に沿って、ボロブドゥール、マドゥーラ、カナンを経てエルドラドへ続く。

 五大街道はそれぞれいくつかの街道騎士団によって守られており、安全な通行と街道上での無関税を保証している。

 

街道騎士
 大街道の安全な通行と無関税を守るために活動する武装集団。隊商護衛のために生まれた武装傭兵団と巡礼修道会が融合して生まれた。大小16の騎士団と、その上位組織としての評議会を持ち、世界的な影響力を持つ。