1979-12-30から1日間の記事一覧

柳生新次郎・幻界行(1)

草原を風が吹き渡る。 見渡す限り一面に丈の高い草が生い茂り、その草色の海をただひたすらに続く街道。すれ違う者とて希な交易路を、一人の男がのんびりと馬の背に揺られていた。その馬の足下を一頭の犬と思しき影が付き従う。 その向かう先は西。馬は恐ろ…