1988-12-30から1日間の記事一覧

レスギンの獅子(承前)

砦の中には乾いた飢えとすえた恐怖の臭いが立ちこめていた。もはやお馴染みになったその臭いにたじろぐこともなく、青年はゆっくりと連射弩に太矢を詰め直し、伸びてきた顎髭をうっとうしそうに二三度掻いた。銃眼から砦の外を見やると、城壁の下からは砦の…